50代女性のお客様Mさん。左膝が痛むとのこと。
仰向けの姿勢で両膝を胸のほうにつけていくと、左の膝から下が、右に比べて内側に流れます。
上から見ると「|/」このようなかたち。
俗に言う「お姉さん座り」で床に座る習慣のある方は、膝から下にこのようなクセが付きやすく、膝を痛める大きな原因となります。
Mさんに伺ってみると「それはしないです」とのこと。
他に考えられる原因は、パソコンを体のななめ前に置いての、毎日長時間のお仕事姿勢。銀行や薬局その他、窓口業務担当の方に多い状況です。
このときに、膝から下を左右どちらかに流してしまうと、やはり上記のようなクセが付きます(下図参照。かなり無理やりつなげましたが……)。
このような体を捻った姿勢は、腰椎3番に負担をかけます。
腰椎3番は膝の調子に大きく影響を与えます。
他にも「足首:腰椎2番」「股関節:腰椎5番」「肩関節:頚椎5番」「肘:頚椎6番」「手首:頚椎7番」など、手足の各関節と相互に関係し合う椎骨が決まっています。
施術前、均整師がお客様から「今日は手首が痛いんです」と伺ったときに、まず最初に頭に浮かぶのは、これら相関する椎骨の番号です。
Mさんの場合、お仕事上の捻った姿勢自体が膝に負担をかけるのと同時に、腰椎3番にも歪みを起こし、そこからさらに膝に影響を及ぼしていたのです。
施術としては腰椎3番を含む均整法12種体型「回旋型」調整をさせていただくとともに、上記のお仕事姿勢についてお話しさせていただきました。
自宅ならパソコンの位置はどうにでもなりますが、仕事場ではそうもいきません。
そんなときに大切なのは、スポーツ後と同じく、整理体操。
ゴルフでもテニスでも野球でも、右打ちの人が週何度か、何時間かの練習や試合をして、そのまま整理体操をせずに帰宅することを続けていると、体にはどんどん左捻れのクセがついていきます。
理論上はゴルフの素振りを100回やったとしたら、逆方向へも100回やらないとバランスがとれないような気がしませんか?
ただ、それは現実的でありません。こんなときに役立つのが左右まんべんない動作で行う整理体操。
たとえばラジオ体操はお薦めです。
3月4日の日経新聞にも「本当はすごい! ラジオ体操第一(上)」の見出しで、早稲田大学スポーツ科学学術院の荒木邦子先生の解説が掲載されていました。
3月11日の本日は(下)、後半の動作についてだそうです。ぜひご覧下さい。
仕事もスポーツも、体の捻れをとってから終える習慣をつけましょう。
ところで、腰椎3番は腸にも関係が深い椎骨です。
過去に何度か腸捻転の経験がある40代女性Nさん。
今はそこまでのことはないご様子ですが、業務が立て込む年度末などに、「う、やばいかも」ということがときどきあるそうです。
人はがんばると「足を踏ん張る」「肩をいからす」「体を捻る」など、その人それぞれのがんばるポーズがあります。
Nさんは体を捻ってがんばるタイプ。職場のパソコンは正面にあるとのことですが、それでも無意識に体を捻り、斜めに身構えてがんばるのです。
腰椎3番は膝だけではなく、腸や卵巣を整えるときにも用いますが、逆に、歪みを起こすと腸や卵巣に影響が出ます。
施術後は「お腹がすっきりしました。これでこの3月もがんばれそうです」とのこと。
全ての不調を、均整法はかたちや動きに置き換える視点を持っています。
医学的視点と合わせて、均整法視点もぜひご活用下さいね。