「背中が伸びた感じがします」と、施術後のお客様がよくおっしゃいます。
伸び方にもいろいろあります。
ひとつには脊柱のカーブが正しいかたちに近づくため。「生理的弯曲」が整うといいます。脊柱を横から見たときのSの字です。
頸椎と腰椎は前に、胸椎と仙骨(骨盤)は後ろに、全体としておだやかなカーブを描くとよいのです。
頭の疲れやすい方はこのカーブが少なくなってまっすぐ気味に、食べすぎ飲みすぎから慢性的な内臓疲労の方は、特に胸椎のカーブがきつくなって猫背気味になったりします。
自律神経的にとてもまいってしまうと、カーブが逆転することも。特に後ろにおだやかカーブが欲しい胸椎の一部が凹んでしまうのです。
胸椎におだやかカーブが戻るにつれ、調子も戻ってきます。
肋骨の硬さが解放されることによっての、背中の伸び感もあります。
40代女性Aさんは子育て中で、背中がパンパン。肋骨全体が固まって動きにくくなっていました。
こんなときには、肋骨を直接調整するよりも、遠いところからの施術が、背中の深いところによく届きます。
Aさんにはうつ伏せになっていただき、リスフラン関節(下図の青色と黄色の境目の関節)など、足の甲を念入りに調整。
足の甲の骨と肋骨はかたちが似ているところから、どちらかがゆるめば、もう一方もゆるむ性質があります(同形相関といいます)。
また、慢性的な疲労や不調は体の外側のライン、経絡でいうと「胆経」ライン(下図参照)に出ます。
そこで足甲の骨のうちでも、胆経ラインに乗っている薬指の骨を中心としてよく整えると、肋骨を外側からゆるめることができます。
ちなみに冒頭の脊柱S字カーブを整えたいときには、経絡ライン上の骨では、体の中心「任脈」ラインや「督脈」ライン上の剣状突起、尾骨を整えるとよいのです。
すべての不調を、均整法はかたちや動きに置き換える視点を持っています。
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