施術の際、仰向けからうつ伏せになるときなど、痛くてベッドに手をつくことができません。
別の50代女性は絵を描くお仕事。やはり手首を使いすぎたご様子で、左手首(左利きなのです)を痛めていました。
ペンや筆を持ってみると分かりますが、手のひらは下を向きます。抱っこでは手のひらが上を向きます。
それら同じポーズで毎日長時間、力を込め続けるため、手首の関節に歪みが生じるのです。
ベッドに手をつくときの手首の動きは「背屈(はいくつ)」といいます。背屈するための大事なポイントは2つ。
1つは、手のひらの中の細かな骨、特に手首付近の「有頭骨」が、「月状骨」「舟状骨」との間をなめらかに滑ること。歯車がうまく咬み合って回るような状態です。
もう1つは、これらの細かな骨全体が背屈の動きをするときに、橈骨と尺骨の間でやわらかく受け止めてもらえること。
橈骨と尺骨で作られる「橈尺関節(とうしゃくかんせつ)」が、普段から滑らかに動いていればOKです。
赤ちゃんを抱っこするときに手のひらが上を向くと、橈尺関節は「開いた」状態になります(下図の左)。言い換えれば、歯車が噛み合っていない状態。
噛み合っていないまま、周囲の筋肉や腱に負担をかけながら抱っこを続けた結果、橈尺関節が固まってしまいます。
逆にペンや筆を持つかたちは、どちらかというと橈尺関節が締まった状態に近いです(下図の右)。
歯車が噛み合っているとはいえ、それを回すことなく長時間、毎日描き続ければ、やはり固まります。
手首を整えるためには、もちろん全身とのつながりが大切ですが、今回は、手首周辺だけにしぼってお話しします。
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有頭骨や月状骨、舟状骨のどれかが出っ張って硬くなっているからといって、それ1個だけを押し込んでもなかなか整いません。
このようなときは、先述の「橈尺関節」に注目します。
固まった橈尺関節がまず動くようになると、月状骨をはじめ、細かな骨全体が締め付けられたような、ロックのかかった状態が解除されるからです。
橈尺関節が滑らかに動くためには、橈骨と尺骨が、手のひらを上に向けたときにはおよそ平行、下に向けたときには上図のようにクロスになる必要があります(上図参照)。
ラインでいえば、前腕の中央。抱っこなど、手の使いすぎで腕がパンパンの方の前腕の中では、橈骨と尺骨がクロス、または平行の、どちらかに偏ったままで固まっているのです。
パンパンになった前腕中央ラインをゆるめることが、橈尺関節の調整になります。
経絡ライン「心包経(下図参照)」に当てはめたり、前腕が左に捻じりやすければ、均整法12種体型「左回旋型」を用いて全身の連動として調整したり。
……と、結局手首周辺から、全身の連動へとお話は展開してしまいます。
今回の30代女性は「左回旋型」調整により体幹の捻れが整い、橈尺関節が整うと、手のひらをベッドについて起き上がることができました。
もうお一人も、締め切りに向けて描き上げる手応えをつかんで下さったようです。
手首と全身の連動については、
「手首の痛み(ゴルフ編)」
「手首の痛みは猫背が原因?」
もご参照下さい。
すべての不調を、均整法はかたちや動きに置き換える視点を持っています。
病院での受診も常に頭に置きながら、均整法視点もぜひ、ご活用下さいね。
※均整法では「回旋型」「左右型」「前後型」など、体型を姿勢や動きによって12種類に分けて考え、調整します。12種体型については、こちらもどうぞご参考に。快風院症状別体型紹介ページ『12種体型』
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