40代女性のお客様Nさん。何日か前、大きな会場にコンサートを観に行ったときに、立ったまま、上のほうの席から長時間ステージを見下ろす姿勢をとっていたところ、翌日から腰が痛くなったとのこと。
このような場合、こわばった腰をなんとかしようとせず、前重心を支えすぎて疲れてしまった椎骨を整えるとよいのです。
前重心を支える椎骨を均整法では、頚椎4番、胸椎5番、腰椎1番、仙椎4番と考えます。

これらの椎骨は連動しており、いずれかの動きが固まると、他の椎骨にも影響を与えます。逆に、固まった椎骨から連動させて、他の椎骨を整えることもできます。
Nさんの場合、辛い腰に近い腰椎1番や仙椎4番よりも、連動を用いて頚椎4番や胸椎5番から整えたほうが体にやさしく、全体のバランスを復活させることができました。
施術後、「コンサートでそんなことになるとは思わなかったので、今日予約しておいてよかったです」と喜んでいただけました。
Nさんの腰は、いわば肉体的疲労からです。
頭の疲れの場合にも、前重心や後重心を支え続ける姿勢から、腰に負担がかかることがあります。
何かに集中して頭を使いすぎているときには前重心姿勢に、頭が疲れすぎてしまうとアゴがあがり背中が丸まった、後重心姿勢になりやすいのです。
精神的ストレスの多い最近を過ごされた、40代女性Mさんは後者でした。加えて繁忙期のため、長時間のデスクワークにより、後重心姿勢に追い打ちがかかった様子。
後ろ重心を支える椎骨は、胸椎1番、胸椎9番、腰椎5番。

やはり腰椎5番よりも、胸椎1番、胸椎9番から整えていきます。
ところで胸椎1番は、デスクワークによる腕の不調にも影響します。
腕の「手のひら側」全体を担当する椎骨が胸椎1番。

たとえばパソコン作業のときに、手のひらの、手首に近い部分(手根)を支えにしながら入力を続けていると、支え続けていた箇所を痛めることがあります。

この場合、手首だけ整えようとしてもなかなかうまくいきません。
手首の関節を担当している頚椎7番に加えて、腕の手のひら側担当の胸椎1番を整えるとよいのです。
その際、やはり連動を用いて腰椎5番→胸椎9番→胸椎1番、そして腕、手首へとせまっていくと、全身のバランスの乱れの、氷山の一角として現れた手首の歪みを、体にやさしく整えることができます。
ちなみに、腕の「手の甲側」は胸椎6番、「親指側」は胸椎3番……と、先週も登場した下図のような体の各部と各椎骨の相関は、他にもまだまだたくさんあります。

医学的視点と合わせて、均整法視点もぜひご活用下さいね。