80代男性Aさん。「パソコン仕事をやりすぎて座りっぱなしだったからか、左足のもも外側が痛くなった」とのこと。
足の外側や前側の痛みには、大腿神経が関わっています(下図の青く色付けした神経)。
ちなみに、足の後ろ側の痛みには坐骨神経痛で有名な、坐骨神経が関わります。
これらのことを踏まえながら、左足の外側に負担をかけない、全体のバランスに調整していきます。
人は、仕事などに集中しているとき、左重心になる傾向があります。
集中するときに働く交感神経の反応が左半身に出やすいためです(下図参照)。
「デスクワークを長時間していると、左のお尻が痛くなってきて、仕事に集中できなくなります」も、よくある不調です。
Aさんも、左お尻痛の方々も、左重心であり続けたために固まってきた左半身の、その人のいちばん弱い部分にしわ寄せがきている状況なのです。
痛みとしてしわ寄せがきている箇所と、左半身を固めてしまっている箇所は違うことが多いです。
左半身を固めてしまっている箇所としてよく見られるのは、コチコチに凝った左の大腰筋や腸骨筋(合わせて腸腰筋と呼びます)。
この場合は、腸腰筋の凝りをほどくことで、左半身全体を解放できます。
また、左の星状神経節(下図の赤丸内、青色をつけた部分)の周りがコリコリの人も多いです。
Aさんの場合は、十二指腸の左側をぶら下げるようにつないでおく役目の「トライツ靭帯(十二指腸提筋。下図の赤丸内)」がコリコリでした。
ちょうど大腿神経の出発点に近いため、もも外側の不調の原因になりやすいポイントです。
じっくりほどいていうちに、左半身全体がゆるみ、ピーンと突っ張っていた左足にも余裕が出てきました。
実は、駅から歩いて当院に向かってこられる際、左足の突っ張りのため歩くのに苦労し、お約束の時間に少し遅れていらっしゃいました。
施術後は、「これでスイスイ歩いて帰れそうです」とうれしそうでした。
左足のふくらはぎがコリコリの人もいます。
30代女性Bさんは、朝起きるとき、布団の中で左のふくらはぎがつってしまうことがよくあるそうです。
今回の施術の日の朝もつってしまい、まだ少し痛いとのこと。
ふくらはぎにそっと触れさせていただくと、1ヶ所だけコリッとした点を見つけました。強く押したら痛そうです。
ここは、ふくらはぎの筋肉が動くときに中心となる点「運動点」と呼ばれます。
冒頭に出てきた坐骨神経が途中から「脛骨神経(けいこつしんけい。下図の青色)」と名前が変わり、この運動点につながります。
坐骨神経は冒頭の図の通り、仙骨付近から出発しています。Bさんの仙骨付近をさぐると、左側にコリコリがありました。
骨盤を整え、このコリコリがなくなったとき、再びふくらはぎの点を探らせていただくと、「あれ? 痛くない」とのことでした。
腸腰筋、星状神経節、トライツ靭帯、ふくらはぎ筋肉の運動点etc.
あらゆる箇所から、その人の重心の偏りを整えていきます。
すべての不調を、均整法はかたちや動きに置き換える視点を持っています。
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