40代女性のお客様Cさん。胃の調子がよくないそうです。
職場の健康診断で、胃の内視鏡検査を受けても異常なしとのこと。
むこうずねの骨の際を探り、凝りのあるところをゆるめていると、「胃に響きます」とおっしゃっていました。
当ブログによく出てくる胃経ライン(下図参照)上です。
通常は足の人差し指と中指の間にある「内庭(下図の赤丸)」への操作で、胃経ライン全体を一気にゆるめます。
Cさんの場合はさらに丹念に胃経ライン上を探り、凝っている部分を個別にゆるめる必要がありました。
胃の他にも、「右腕を上げると右肩が痛い」「ここ何ヶ月かで、のどの奥に鼻水が流れてくるのが気になって」などの不調が重なっていたからです。
そこでむこうずねやもも、お腹、そして首や頭と、胃経ライン上をすべてたどっていったのです。
それぞれの不調については整形外科、そして「後鼻漏(こうびろう)外来」も受診されています。
鼻水の一部がのどに回るのは生理的な現象として誰にでもありますが、副鼻腔炎などを原因とした粘つく鼻水により、のどに不快感を伴う場合に、後鼻漏と呼ばれます。
それぞれの部位の医学的治療と併用しつつ、胃・肩・鼻を結ぶCさんの全体のバランスを考えたとき、胃経ラインが大切なポイントとなりました。
Cさんは立った姿勢で体を左右にねじってみると、左にねじりやすいタイプでした。
そのときに、足裏のどこに体重がかかるか。
皆さんも体を左にねじりながら感じてみて下さい。
左かかと外側と右親指のつけ根であったり、左小指のつけ根と右かかと内側であったり。人によって感じる場所が違うと思います。
Cさんの右足裏は、右人差し指と右中指のつけ根、上図の「内庭」近くで支えていました。
そこから頭のほうに体重のかかるラインを引くと、ちょうど胃経ラインと重なります。
胃経ライン上で、毎日のように全体を支えながら生活し続けることで、胃経ライン全体が凝ってしまったのです。
Cさんの胃・肩・鼻の不調は、その胃経の凝りのライン上で結ぶことができます。
上図を見てみると胃経ラインは、胃はもちろんのこと、そのまま上にたどると鼻も通ります。
肩には直接通っていませんが、胃の不調が現れやすい椎骨である胸椎3番・5番・7番など、肩甲骨の間にある椎骨に、胃経ラインの凝りは間接的に影響します。
特に胸椎3番(下図の赤丸)は両腕の動きの支点ともなる箇所にあたります。
胸椎3番の動きが硬くなると、肩や腕の動きが不自然になり、痛める原因となります。
また、胃経ラインは胸を通るため、胸の凝りによって肩を巻き込ませた姿勢になると、肩も腕も動きが制限され、同じく痛める原因となります。
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内庭からの操作だけで胃経ラインがすべてゆるめばよいのですが、1本のラインで結ぶことのできる不調箇所の数が多いほど、ライン上の凝りも深まっています。
よって、冒頭のように、むこうずねやもも、お腹、そして首や頭と、胃経ラインを丹念にたどってゆるめていく必要があるのです。
すべての不調を、均整法はかたちや動きに置き換える視点を持っています。
医学的視点と合わせて、均整法視点もぜひご活用下さいね。
※均整法では「消化器型(左右型)」「泌尿器型(回旋型)」「頭脳型(前後型)」など、体型を姿勢や動きによって12種類に分けて考え、さらに悪姿勢や偏った動作からか来た歪みか、内臓疲労や脳疲労から来た歪みかを分けて調整します。
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【お知らせコーナー】
1)東京校の来年度受講生募集説明会、3月17日(土)が最終回となりました。説明会後は授業見学も可能です。下記リンク先より詳細をご確認の上、ぜひいらして下さいね。4月にお会いできることを楽しみにしています。
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2)※2月はおかげさまで満員となりました。ありがとうございます。3月12日開催:均整センター「施術モデル」募集
3)今回のブログ内の胃経ラインなど、経絡ラインが凝った状態を拙著『体内疲労をとる5分間内臓ウォーキング』内では「こりライン」と呼び、86〜90ページで詳しく解説しています。内臓ウォーキングを通じて、こりラインを自分でゆるめることができます。
『体内疲労をとる5分間内臓ウォーキング
脳から肝臓・胃腸・子宮まで若返る!』
(田川直樹著・さくら舎刊)

4)ストレスからの胃の不調には体をねじりやすい側の手の中指「中衝」に、食べすぎによる場合にはねじりにくい側の膝の少し下「足の三里」に輪ゴムを巻いてみて下さい。詳しくは下記の拙著33ページをご覧下さいね。