喉の中ではなく表面で、昨日からとのこと。そっと触らせていただくと、首の前側に2本ある筋肉「胸鎖乳突筋」の、右側の1本がとても凝っていました。

胸鎖乳突筋を動かす神経(副神経)は、内臓の神経(迷走神経。下図参照)と出発点近くで重なっている部分があるため、特に胃腸など消化器系統の疲れにより、胸鎖乳突筋にも連動して凝りの現れることがあります。

胃の付近のお腹を触らせていただくと、出口の側「幽門(ゆうもん)」に、こちらも相当な凝りがありました。伺うと、胃の疲れには心当たりがあるご様子。
背骨の施術の際に、均整法12種体型「消化器型」調整を当てはめ、加えて、胃の反応を表すツボ「胃兪(いゆ)」に近い、胸椎12番(ガチガチでした)を整えると、お腹はふんわり、右胸鎖乳突筋の凝りも解けました。
ただ、解けた凝りの奥には、まだ舌骨(ぜっこつ)が右に歪んだままになっています。
舌骨とは、のどぼとけの上にある骨。上から見ると、こんなかたちをしています。

一番上の図、胸鎖乳突筋のかげからも、少しのぞいているのが見えます。
右胸鎖乳突筋の凝りと舌骨の右への歪みが、唾を飲み込んだときの、喉の動きをじゃましていたのでしょう。整えるためには骨盤(恥骨)が活躍します。
舌骨と、骨盤の恥骨付近とは、均整法から観ると「同形相関」として連動しやすいのです。舌骨と恥骨、上下の図を見比べてみて下さい。どことなくかたちが似ていますよね。
(※先週は「骨盤と頭蓋骨」の同形相関についてお話ししましたので、ご参照下さい)

左と比べてわずかにずれていた恥骨の右側を整えると、舌骨ももとの位置に戻り、唾を飲み込んだときの舌骨の動きにも、引っかかりがなくなりました。
今回のようなお悩みを初め、すべての不調を、均整法はかたちや動きに置き換える視点を持っています。
もちろん病院での受診も常に頭に置きながら、それでも異常がない場合には、均整法視点もぜひ、ご活用下さいね。
『身体均整法学園』東京校・大阪校・札幌校
『各地の身体均整院』
『取材・広報』
※均整法ではかたちや動きを「消化器型」「頭脳型」「循環器型」など12種類に分けて調整します。12種体型についてはこちらもどうぞご参考に。快風院症状別体型紹介ページ『12種体型』
※あなたのお悩み、痛む箇所をキーワードとして、右欄にある検索窓で、当ブログ内を検索してみて下さい。お悩み解消に役立つ情報が、きっと見つかります→
尾骨の先端が痛い場合には自律神経の過敏さを表すことが多いですが、今回の男性は先端ではなく両横、特に左横でした。
下図の仙骨・尾骨・坐骨で囲まれた空間にある靭帯(仙棘靭帯、仙結節靭帯他)を痛めている様子。

比べてみると左側の靭帯が硬く、そちらに引っ張られるように、尾骨がわずかに左に捻れていました。
考えられる原因としては「打撲系」と、「日常習慣の積み重ね系」に分けられるでしょう。両方が関わる場合ももちろんあります。
打撲系とは「しりもち」など。日常習慣の積み重ね系とは、例えばデスクワークのときの座り方のくせ。
正しい姿勢で脊柱を立て骨盤を起こし、椅子に坐骨で座っていられれば、尾骨が座面に当たることがないのですが、だんだんと背中が丸まってくると、坐骨ではなく尾骨で座ることになります。
なおかつ左右どちらかに体重をかけた座り方を続けているうちに、徐々に尾骨両側の靭帯のどちらかが硬くなり、尾骨自体も歪み始めます。
尾骨が左に捻れれば、その上にある脊柱も、あるところでは逆に捻れたり、また逆に捻り返したりして、全体としてバランスを取ろうとします。
均整法では、脊柱は椎骨4つおき、または5つおきにバランスを取り、連動し合う性質があると考えます。
尾骨から4つおきに上にたどると、尾骨→仙椎2番→腰椎3番→胸椎11番→胸椎7番→胸椎3番→頸椎6番→頸椎2番。
今回の男性ではその中でも胸椎7番と尾骨とがいちばん連動し合っていました。よって胸椎7番を整えると、痛い尾骨付近には触らずに、尾骨の歪みを整えることができます。
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胸椎7番調整ののち、まだうっすら残っていた尾骨左の靭帯の凝りは、頭のてっぺん「頭頂骨」調整でOKに。
均整法では、かたちが似ている部位同士は連動する「同形相関」という考え方を用いて、離れた部位を整えることもできるのです。
骨盤と頭蓋骨。逆さにしたり回したりすると、何だか似ているように見えてきませんか?


細かくいえば、側頭骨と腸骨、後頭骨と仙骨が対応しています。同じように、頭頂骨は骨盤底部や尾骨と見たてることができるのです。
何かがなかなか治らない場合、心身の疲労から全体としての治癒力が低下していることの他に、離れたところで連動しあっている部位が、治りたい部位の足を引っ張っているかもしれません。
例えば痔がなかなか治らない方は、頭頂骨に歪みが出ていることが多いです。
頭頂骨を整えると、身動きのとれなかったお尻を解放し、治る力を高めることができるのです。
※均整法では脊柱の歪みがどのように4つおき、または5つおきになっているかの状況を「頭脳型」「消化器型」「循環器型」など12種類に分けて調整します。12種体型についてはこちらもどうぞご参考に。快風院症状別体型紹介ページ『12種体型』
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「辛いところはございますか?」と伺ったときに「この一ヶ月も快調でした。特に辛いところはありません」とのお答えはうれしいもの。
そうおっしゃるお客様でも、触ってみて初めて「え! そんなところが凝っているなんて思いませんでした!」と驚く箇所がけっこうあります。
背骨に沿ったラインは特にそう。気づかないうちに胃が疲れていれば、胸椎3・5・7番の左側にコリコリがあります。肝臓なら胸椎8番や腰椎2番の右側(下図参照)。

そのコリコリに向かって背骨が歪みますから、例えば胃の調整をして胃のコリコリが取れれば、胃から来た背骨の歪みは整います。

施術が終わって立ち上がってみると、疲れた臓器をがんばって支えなくてよくなった体が、いかに軽くて、スッと立てるものか、よく分かります。
触ってみる以外に、動かしてみて初めて感じる不調な箇所もあります。
例えば先日、前回から一ヶ月置いていらした40代女性。特に不調はなしとのことでしたので、全体のメンテナンス調整を始めました。
首の動きを確かめようと、仰向けでそっと頭を持たせていただき、お顔を左右に向けてみます。
すると、左にどこまで向くか動かしていったとき、最終地点で「先生、首の左が思いがけず痛いです」と。
首、手足、どこでもそうですが、各部の関節は自分で動かせる範囲と、そこからさらに人に動かしてもらって、ほんのわずかに動く範囲とがあります。
日常、自分で動かしているだけでは分からなかった歪みが、人に動かしてもらうと、痛みや引っかかりとして感じられるのです。
痛いとおっしゃったところを詳しく観させていただくと、首と胴体のつなぎ目、頸椎7番と胸椎1番の左側に歪みがありました(上図参照)。
ここは特に心臓との関係が深い箇所。心臓が悪いという意味ではありません。その人の疲れが今どこに出ているか、という視点です。
今年は5月5日が「立夏」で、春(「肝」の季節)から夏(「心」の季節)の変わり目にあたります。
季節の変わり目の体調変化は、立夏や立冬、立春、立秋を堺に、前後10日くらいによく起こります。
心臓に関わる「心経」は、手の小指を通ります。

左右を比べると、右小指の真ん中の関節(第2関節)に硬さがありました。
心経が通るこの関節を整えた後、もう一度、頸椎の検査をすると、お顔を左に向けても何も起こりませんでした。歪みも取れています。
手足など、末端への軽い操作を背骨、内臓へと届けるうちに、頭の疲れもよく取れますよ。
ストレスを余裕で受け流せるコンディション作りにも、ぜひ均整法をご活用下さいね。
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※均整法では歪みを「頭脳型」「消化器型」「循環器型」など12種類に分けて調整します。12種体型についてはこちらもどうぞご参考に。快風院症状別体型紹介ページ『12種体型』
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均整法12種体型の考え方を用いると、今回のように正反対の動きの差がはっきりした不調の場合に、とても力を発揮します。
「体を後ろに反るのがきつくて、前に曲げるのが楽」=前屈型(F1)。その逆が後屈型(F2)。「右に曲げるときつく、左に曲げるのは楽」=左屈型(F3)。その逆が右屈型(F4)。など、正反対の動作や、見た目・姿勢を組み合わせて体型を12種類「F(フォーム)1~12」に分けます。

F1~12までそれぞれ、動くときにその支えとなる椎骨が決まっています。
慢性的な不調の場合、いくつかのフォームが重なるので、動きの差がはっきりしなかったり、上記椎骨の数も増え、フォームを見分けるのに慣れが必要です。
今回のようにきつい動き、楽な動きがはっきりしていて、原因が一時的な状況によるときは、とてもシンプル。F8椎骨の頸椎4番、胸椎5番、腰椎1番、仙椎4番にしっかり現れていました。
これらが連動して、「広げたり伸ばしたりがきつくて、縮めたりすぼめたりが楽」な状態を作っています。

今回の女性が一番すぼめてがんばっていたところは胸椎5番。そこから伸びる肋骨も含めてガチガチ、過敏になっていて、ちょっとした刺激が咳につながる様子でした。F8とF7を合わせて「呼吸器型(肋骨型)」とも呼びます。まさに咳と直結する体型。
5番には触らずに、連動する他の三つを整えると5番もOK、施術後にしっかり胸を開いて鏡の前に立つことができました。
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ある一方向のみでしたら、今回のように、シンプルな調整が功を奏すはず。
前に曲げたときと左に捻ったとき、など、不調の方向が複数ある、またはどの方向にも動かせないのであれば、まずは病院での受診も大切。
その上で、施術を何度か繰り返すうちに、不調の増す方向がひとつずつ減り、最後には一方向となり、そして解消へとつながっていくでしょう。
※「前屈型」と「後屈型」を合わせて「前後型(頭脳型)」、「左屈型」と「右屈型」を合わせて「左右型(消化器型)」など、12種体型についてはこちらもどうぞご参考に。快風院症状別体型紹介ページ『12種体型』
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仕事柄、長距離の運転が毎日のように続くそうです。ハンドルを握り続けることが直接の原因であれば、腕(手首、肘、肩)を整えると解消します。
今回の男性の場合、腕にはそれほどの歪みはありませんでした。ではどこに歪みがあるかと探っていくと、左右の大腰筋に(下図参照)。特に右側がカチカチでした。

大腰筋は、例えばスポーツ選手が、より速く、より高く、より華麗になど、卓越した体の動きを実現するために大切な筋肉。
もちろん普通の人にとっても、美容と健康の維持・向上にかかせません。
なぜか姿勢が素敵、歩く姿が美しい、と思える人が周りにいませんか?
きっと、日常生活を送る中で、大腰筋を伸ばしたり縮めたり、無意識のうちにしなやかに使えていることでしょう。
大腰筋は、長距離運転や長時間のデスクワーク中などには、伸びたり縮んだりという動きは必要ありません。ずっと同じかたちのまま、体幹を支えています。そのために今回の男性は、大腰筋をカチカチに縮こまらせてしまっていました。
彼は猫背でもありました。背中が丸まりアゴが出た姿勢。だからこその首や肩の凝り。
よって、解決策は「よい姿勢を心がける」となるのですが、背骨を伸ばそうとしても、大腰筋が縮こまりすぎて下から引っ張り、伸ばせないのです。
ほんの10分、机に向かっただけで、立ち上がろうとすると腰が伸ばせなくなる慢性腰痛にお悩みの、別の40代男性も、大腰筋がカチカチでした。
散歩をしているうちに楽になってくるそうです。歩くことで大腰筋が少しずつほぐれてくるからです。
ふくらはぎがパンパンで辛い40代女性は、歩くときに大腰筋がうまく使えず、代わりにふくらはぎの筋肉を使って地面をガシガシ蹴って歩くくせがありました。
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大腰筋が弛めば猫背も腰も伸ばすことができ、よい姿勢がとれます。また、いつもより少しだけでも大腰筋に動きが出た分、ふくらはぎに楽をさせることができます。
大腰筋のどちらかだけが硬ければ体が捻れたり、横に歪んだりしますから、均整法12種体型の「左右型」や「回旋型」調整に、両方であれば「前後型」調整などに当てはめると、大腰筋はフワッと弛んでくれます。
施術を繰り返しているうちに、スーッとしたきれいな立ち方・歩き方を、知らずに体が覚えてしまう方も、中にはいらっしゃいます。
大腰筋のしくみを理解すると、もっと多くの方が、さらに早く楽になるでしょう。こちら体玄塾ブログ「ウォーキングウォッチ」を参考にして下さいね。
ぜひ、仕事の合間や行き帰り、家事の際に、大腰筋を使う動きを意識して、快適な体を目指して下さい。
※均整法では歪みを「回旋型」「開閉型」「前後型」など12種類に分けて調整します。12種体型についてはこちらもどうぞご参考に。快風院症状別体型紹介ページ『12種体型』
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