30代女性のお客様Aさん。施術中、こんなご相談をいただきました。
息子さん(3歳)が保育園から帰宅したときなど、ホッとするとおしっこを少し漏らしてしまうことがよくあり、なんとかならないでしょうか、とのこと。
そこで、お母さんがお子さんにしてあげられる、均整操法をお伝えしました。
おねしょやおもらしの場合、子どもはもともと「副交感神経が優位」と考えると、対策が見つかります。
膀胱は副交感神経で収縮し、おしっこが出ます。
ホッとしたときは、副交感神経が優位になるとき。
子どもはもともと副交感神経が優位ですので、ホッとしたことで副交感神経を刺激し、その影響が膀胱に及んでしまうことがあります。
そこで、お子さんのおもらしには仙腸関節を整え、膀胱に直接関わる副交感神経のスペースを整備するとよいですよと、お話しさせていただきました。

具体的には、お尻のかたちの左右差を整えます(ここでは手順の説明が難しいので、お悩みのお母様がいらっしゃいましたら、ご来院の際に遠慮なくご相談下さいね)。
操法をお伝えさせていただいた2週間後、「あれほど頻繁だったのが、うそのように止まりました!」とうれしいご報告をいただきました。
大人は仕事その他、長年がんばりすぎて交感神経優位な生活が続き、そのためにおねしょやおもらしをするほど副交感神経優位な状態にはなりにくいです。
ただ、ホッとする瞬間、例えば会社の定時や週末をきっかけに、交感神経→副交感神経がうまく切り替わらず、蕁麻疹や頭痛につながる方もいます。
また、がんばりすぎた交感神経によって、肩や腰を痛める方も。
たまたま同じ日にいらした3名様。Bさん(50代女性)は腰痛、Cさん(50代女性)は腰よりさらに上の背中痛、Dさん(40代女性)は右肩痛。
それぞれ不調の箇所は違いましたが、させていただいた施術のポイントは共通しています。
それは過敏になりすぎた交感神経に鎮まってもらうこと。
具体的には下図の交感神経幹という、背骨の前側に左右1本ずつ走っている交感神経のメインルートを整えていきます。


40代女性のお客様Nさん。何日か前、大きな会場にコンサートを観に行ったときに、立ったまま、上のほうの席から長時間ステージを見下ろす姿勢をとっていたところ、翌日から腰が痛くなったとのこと。
このような場合、こわばった腰をなんとかしようとせず、前重心を支えすぎて疲れてしまった椎骨を整えるとよいのです。
前重心を支える椎骨を均整法では、頚椎4番、胸椎5番、腰椎1番、仙椎4番と考えます。

これらの椎骨は連動しており、いずれかの動きが固まると、他の椎骨にも影響を与えます。逆に、固まった椎骨から連動させて、他の椎骨を整えることもできます。
Nさんの場合、辛い腰に近い腰椎1番や仙椎4番よりも、連動を用いて頚椎4番や胸椎5番から整えたほうが体にやさしく、全体のバランスを復活させることができました。
施術後、「コンサートでそんなことになるとは思わなかったので、今日予約しておいてよかったです」と喜んでいただけました。
Nさんの腰は、いわば肉体的疲労からです。
頭の疲れの場合にも、前重心や後重心を支え続ける姿勢から、腰に負担がかかることがあります。
何かに集中して頭を使いすぎているときには前重心姿勢に、頭が疲れすぎてしまうとアゴがあがり背中が丸まった、後重心姿勢になりやすいのです。
精神的ストレスの多い最近を過ごされた、40代女性Mさんは後者でした。加えて繁忙期のため、長時間のデスクワークにより、後重心姿勢に追い打ちがかかった様子。
後ろ重心を支える椎骨は、胸椎1番、胸椎9番、腰椎5番。

やはり腰椎5番よりも、胸椎1番、胸椎9番から整えていきます。
ところで胸椎1番は、デスクワークによる腕の不調にも影響します。
腕の「手のひら側」全体を担当する椎骨が胸椎1番。

たとえばパソコン作業のときに、手のひらの、手首に近い部分(手根)を支えにしながら入力を続けていると、支え続けていた箇所を痛めることがあります。

この場合、手首だけ整えようとしてもなかなかうまくいきません。
手首の関節を担当している頚椎7番に加えて、腕の手のひら側担当の胸椎1番を整えるとよいのです。
その際、やはり連動を用いて腰椎5番→胸椎9番→胸椎1番、そして腕、手首へとせまっていくと、全身のバランスの乱れの、氷山の一角として現れた手首の歪みを、体にやさしく整えることができます。
ちなみに、腕の「手の甲側」は胸椎6番、「親指側」は胸椎3番……と、先週も登場した下図のような体の各部と各椎骨の相関は、他にもまだまだたくさんあります。

医学的視点と合わせて、均整法視点もぜひご活用下さいね。
50代女性のお客様Mさん。左膝が痛むとのこと。
仰向けの姿勢で両膝を胸のほうにつけていくと、左の膝から下が、右に比べて内側に流れます。
上から見ると「|/」このようなかたち。
俗に言う「お姉さん座り」で床に座る習慣のある方は、膝から下にこのようなクセが付きやすく、膝を痛める大きな原因となります。
Mさんに伺ってみると「それはしないです」とのこと。
他に考えられる原因は、パソコンを体のななめ前に置いての、毎日長時間のお仕事姿勢。銀行や薬局その他、窓口業務担当の方に多い状況です。
このときに、膝から下を左右どちらかに流してしまうと、やはり上記のようなクセが付きます(下図参照。かなり無理やりつなげましたが……)。

このような体を捻った姿勢は、腰椎3番に負担をかけます。

腰椎3番は膝の調子に大きく影響を与えます。
他にも「足首:腰椎2番」「股関節:腰椎5番」「肩関節:頚椎5番」「肘:頚椎6番」「手首:頚椎7番」など、手足の各関節と相互に関係し合う椎骨が決まっています。

施術前、均整師がお客様から「今日は手首が痛いんです」と伺ったときに、まず最初に頭に浮かぶのは、これら相関する椎骨の番号です。
Mさんの場合、お仕事上の捻った姿勢自体が膝に負担をかけるのと同時に、腰椎3番にも歪みを起こし、そこからさらに膝に影響を及ぼしていたのです。
施術としては腰椎3番を含む均整法12種体型「回旋型」調整をさせていただくとともに、上記のお仕事姿勢についてお話しさせていただきました。
自宅ならパソコンの位置はどうにでもなりますが、仕事場ではそうもいきません。
そんなときに大切なのは、スポーツ後と同じく、整理体操。
ゴルフでもテニスでも野球でも、右打ちの人が週何度か、何時間かの練習や試合をして、そのまま整理体操をせずに帰宅することを続けていると、体にはどんどん左捻れのクセがついていきます。
理論上はゴルフの素振りを100回やったとしたら、逆方向へも100回やらないとバランスがとれないような気がしませんか?
ただ、それは現実的でありません。こんなときに役立つのが左右まんべんない動作で行う整理体操。
たとえばラジオ体操はお薦めです。
3月4日の日経新聞にも「本当はすごい! ラジオ体操第一(上)」の見出しで、早稲田大学スポーツ科学学術院の荒木邦子先生の解説が掲載されていました。
3月11日の本日は(下)、後半の動作についてだそうです。ぜひご覧下さい。
仕事もスポーツも、体の捻れをとってから終える習慣をつけましょう。
ところで、腰椎3番は腸にも関係が深い椎骨です。
過去に何度か腸捻転の経験がある40代女性Nさん。
今はそこまでのことはないご様子ですが、業務が立て込む年度末などに、「う、やばいかも」ということがときどきあるそうです。
人はがんばると「足を踏ん張る」「肩をいからす」「体を捻る」など、その人それぞれのがんばるポーズがあります。
Nさんは体を捻ってがんばるタイプ。職場のパソコンは正面にあるとのことですが、それでも無意識に体を捻り、斜めに身構えてがんばるのです。
腰椎3番は膝だけではなく、腸や卵巣を整えるときにも用いますが、逆に、歪みを起こすと腸や卵巣に影響が出ます。

施術後は「お腹がすっきりしました。これでこの3月もがんばれそうです」とのこと。
全ての不調を、均整法はかたちや動きに置き換える視点を持っています。
医学的視点と合わせて、均整法視点もぜひご活用下さいね。
40代女性のお客様Kさん。施術の最初、立ったときの姿勢を見せていただきながら、「今日は右肩、辛そうですね」とお伝えすると、驚いたご様子で「どうして分かるんですか?」。
右肩がガクンと下がっていたのです。
辛い側の肩は上がっているように思われがちですが、下がって辛い場合もあるのです。
なぜ下がるかは、左と右で違います。
右の場合は肝臓疲労、左の場合は心臓疲労が多いです。
Kさんの場合は肝臓疲労からの凝りが右肩を引っ張り下げているイメージです。さらに両方が巻き肩になっていました。

立ち姿勢からベッドに仰向けになっていただきました。その後、うつ伏せに。
ここまでは右肩に張りを感じていらした様子ですが、うつ伏せ施術で何ヶ所か整えて、再び仰向けに戻っていただくと「あれ? なんか楽かも?!」と。
胸椎9番など、肝臓疲労の反応が出やすい点を何ヶ所か操作させていただいたのです。

終わって立っていただくと、肩の上がり下がりがそろうとともに、巻き肩も8割くらいは開いていました。
巻き肩の解放は、腕を体の横にきちんとぶら下げておくために必要です。
腕は意外と重いので、巻き肩につられて前にぶらさげてしまうと、直接的に肩や首の辛さの原因になるのです。

肩周辺の微調整で、残りの2割を整えさせていただきました。
デスクワークの時間が長いKさんを始め、現代人にはどうしても起こりがちな巻き肩。
巻き肩には様々な筋肉が関わります。
たとえば脇の下の奥、肩甲骨の裏側につく「肩甲下筋」をいかに整えるかも、解放へのポイントのひとつです。

巻き肩や肩の上がり下がりを、ぜひ「内臓疲労」と「日常の体使い」の両面から整えてみて下さい。
全ての不調を、均整法はかたちや動きに置き換える視点を持っています。
医学的視点と合わせて、均整法視点もぜひご活用下さいね。